長崎ハウステンボス、再生と仕掛けに秘める5つの力

130922_2259昔は誰もが「あんなところ誰が行くか!」と怒りにも似た顧客満足度を獲得していた長崎ハウステンボス。それが今では日本3位という快挙を成し遂げる素晴らしい観光地へ様変わりした。

 

理由は数え切れないし、言い切れないほどある。

 

色んな方が、色んな観点に着目して成功要因をお話しになると思うが、現経営体制へ変わってからプライベートでも伺うようになったハウステンボスを自分の視点を交えて研究したい。

目次

 

  1. 限りある資源の戦う力
  2. 企画する力
  3. 実行する力
  4. 値上げする力
  5. 開発する力
  6. 最後に

 

1.限りある資源の戦う力

 

多くの中小企業にとって、場所、ヒト・金・物資・物流など、ないないづくしの問題は世の常ではないだろうか。あなただけではないハウステンボスもしかりである。唯一、ハウステンボスらしい問題と、それは「場所」。いわゆる広すぎたのだ。

 

ディズニーランドより広いハウステンボスが、経営再建するにあたって、活用しきれない場所の部分については、わざと限りある状況にもちこんだ。「圧縮法」と呼ばれる手法である。

 

1-1.圧縮法を利用して限りある資源を100%活かす

 

この手法は使える会社や店舗もあると思うので、覚えておいて欲しい。広くはないが、集客がうまくいかない為に、空席が絶えず起こってしまい、スカスカになっている状況を打開する為に使える手法で、いっその事半分のスペースで戦ってしまうのはどうだろうか?

 

「え?残り半分の家賃もったいない」

 

と思われるかもしれないが、スカスカな印象を客に与えるよりはよっぽどマシである。激狭繁盛店を作り、そして少しずつ残りの半分を解放していこう。そうすれば客からすれば「いつも満席」だ。ハウステンボスは圧縮法を使ったと思われる。(最近解放へ向かっている)

 

1-2.外装も内装も工事はしない。今ある資源だけで充分戦える

 

全く工事をしなかったと言えばウソになるだろうが、要するに「ハード」に頼る事無く、経営力や運営する力の「ソフト」で勝負出来ると踏んでいたハウステンボス。店舗や1法人程度なら出来ても、あの規模をソフトで勝負するとは、多くの人は予想出来なかったのではないだろうか。でもやっぱり黒字化はソフトで勝負なのだ。

 

お金についても限りある資源の中から、ここまで成長出来ると思えば、自らの環境での勝負もいくらでも方法があると思えるはずだ。

 

2.企画する力

 

企画とは、分かるようで、あいまいな定義だと思う。企画の何がどう良かったのだろうか。1の限りある資源に基づいて項目ごとに紹介する。

 

2-1.予算をかけらない、でも人を呼んで売上を作りたい。それを可能にするのが「企画」

 

事業者にとって、現実的に集客出来る方法は限られているように見える。お金はないし、ヒトもない、場所もなければ時間もないのだから、とにかくよく分からない事に力を注いでいる場合ではないのだ。

 

事業者から見る資源と企画との関係を解いてみると

 

  • お金はとにかくない。失敗は出来ない。低コストで売上作りが実行出来なければいけない。
  • 時間もないから長期戦に臨む事は出来ない。
  • 人件費を多くかけれない分、最少人数で戦うと、準備や考える時間は限られている
  • 1回で多くの成功を得たい

 

というような状況ではないだろうか。切羽詰まった状況では、皆こんな状況で無理はない。

 

2-2.無駄な金は使いたくない。忙しい。失敗なんてごめんだ。消費者こそこんな意見。

 

事業者の言葉のように見えるかもしれないが、消費者こそ無駄金にはシビアだ。あなたもプライベートになれば、たちまちそんな視点になるはず。事業者が低コストで集客して売上を作りたいと思っている事なんて、はっきり認識は出来なくても、間接的に伝わっている。

 

「努力をしていない大した事ないところ」だと。

 

  • 唯一の休みに使える時間は限られている。失敗する可能性があるなら行く必要はない。
  • 失敗したくないからこそ、口コミや評判が気になる。悪ければ行く必要はない。店は星の数あるのだから。
  • 自分にしっかりおもてなし出来ないスタッフの数だと待たされ、雑に扱われ、後悔する事になる。
  • どこだってクーポン、値引きはやっているし、いつもセールをするから今買う必要はない。

 

こんな目であなたの商売も見ているとしたらどうだろうか。あなたはあなた目線で物事を考える事を捨てなければならない。

 

こんな消費者が恋に落ちるような商売にしてこそ「商い」である。

 

 

3-3.花というコストパフォーマンスに着目するハウステンボス

 

年間を通じて花のイベントを数々開催するハウステンボス。バラやチューリップなどの企画をずっと行っている。これには理由があって、花はコスパが良いと筆者は考えている。それだけでなく、花の企画で成功している場所は特になく、花やガーデニングのファンは多くいる。

 

絶対に外さないクリスマスや、花火大会という企画にサンドイッチするように、間には花の企画が組み込まれているように感じている。高利益企画の実現に成功しているのではないだろうか。一般事業者にとって、高利益率企画はないだろうか。

 

どんな業界・業種にも必ずあると思う。是非まっさらな状況から考えてみてほしい。

 

3.実行する力

 

実行する力、サービス業でいうところの、オペレーションと言われる部分である。オペレーションに通ずる項目としては清潔感やクオリティ、サービス力など多数上げられるが、1の限りある資源と2の企画力に基づいて紹介する。

 

3-1.実行するオペレーションを最大化する為には準備、企画が最大化されている

 

オペレーションの一段階前の話しになるが、そもそもオペレーションの話しをする前に前置きをご紹介したい。。

 

例えば営業の場合、プレゼンテーション力がある組織とは、何が優れているかご存知だろうか。プレゼンテーションが優れているという事は、一段階前のアプローチが優れているという事だ。

 

プレゼンテーションが上手なのはプレゼン上手ではないという事実

 

 

プレゼンがうまい営業マンはアプローチがよく決まっている。(成立している)オペレーションが優れているチームは、その準備に抜かりがなく、崩れないという事でもある。ヒト・モノ・カネがなく一刻も早く一発で成功したいと願う経営者ほどこの点を忘れてはいけない。

 

1歩前のポイントをしっかり押さえてみる事

 

3-2.年間を通じて計画し、魅力ある繁盛店作りを

 

ハウステンボスのホームページをご覧になって頂いた事はあるだろうか。現在開催中のイベントや次回からの企画が早くも発表されている。消費者の目線で紹介したが、「失敗する可能性」を消してあげる事が必要で、実行するオペレーションは、実行する前のアプローチで決まるのだ。

 

3-3.複数同時開催をすると消費者は感情が振り回され、選択が出来る喜びが上昇する

 

例えば、イベント企画を行ったとする。温泉旅館が秋の旬のプランを目玉に据えたとする。その告知をする事はもちろんだと思うが、ここから更に複合的にやってみてはどうだろうか。

 

お客様の声を募集する為のモニターを募ってみたり、昼の会席コースを開催したり、日帰り足湯をドライブ旅行者向けに格安で売り出しても良い。同時開催すればホームページだってチラシだって賑やかになり、消費者にとって最も怖い「失敗する可能性」は払しょくされていくのだ。

 

4.値上げする力

 

「え?値上げ?」とびっくりされると思う。ハウステンボスは少しずつ値上げを行っている。要するに客単価である。商売繁盛には基本的には3つしかない。

 

  1. 人を沢山呼ぶ
  2. 1人から沢山お金をもらう
  3. 1人に何回も買ってもらう(通ってもらう)

 

基本原則はこの3つから出来ているが、順序を立てて同時に行っていくべきである。特に今回は高い料金というワードについて説明する。

 

4-1.高い料金は敬遠される。と思われるが実は違う。

 

高いと払いにくいし、安いと払いやすい。お金との因果関係では全くその通りだが、商売においてはそれだけでない。そもそも高いか、安いか決める基準は

 

 

  • 払ったお金より満足度が低いと、結果「高い」(損)
  • 払ったお金より満足度が高いと、結果「安い」(得)

 

 

である。よってあなたが、あなたの商売について料金を悩むときには、満足度がどのような数値になるか予測すると良い。満足度は提供されるパフォーマンスに基づくので、結果払う値段が上がっていっても、満足度が伴っていれば、客はついてくるのだ。

 

だから、途中からでも値上げして良い。相応しい満足度があれば。

 

4-2.値段が教える場合もある。「良いものなんだよ」と。

 

例えば白い容器のトレーに一切れのお肉。片方の皿の肉は1,000円と書いていて、もう片方には100円と書いている。その評価を求めると皆1,000円が美味しいと答える。でも本当は同じ肉である。この事から、値段が高いという事は、その分の価値があるという前提を消費者がラインを引く場合があって、満足している場合がある。

 

あなたの商売は本当は高い料金に相応しい技術やパフォーマンスを持っているのではないだろうか。それを仕方なくクーポンや値引き、これが適正だろうと値段を下げている事はないだろうか。

 

5.開発する力

 

予算がない中で、ヒットする企画を生み出し、人気を博して有名になっていくなら、こんなに望ましい事はない。しかし、それらを「開発」するのは、能力が必要だと思う。その能力は特別な技術を必要としている訳ではない。「消費者ニーズを開発する力」と考えるべきである。

 

5-1.他店の情報を閉鎖して、消費者の声を拾ってみよう

 

ハウステンボスは大ヒット企画を実現した。花火大会である。春の音楽花火大会、秋の九州一花火大会、カウントダウンの花火大会など規模は大きくなっているが、花火に価値を見出してプランを開発したのは素晴らしい事だと思う。

 

また、イルミネーションも然り。光でお金が取れるとは筆者も考えもしなかった。

 

5-2.誰の為のハウステンボスか。ターゲットを開発する客の選択。

 

「得るは捨つるなり」という言葉がある。大きなモノを得たければ、同等かそれ以上のモノを捨てよ。ハウステンボスは企画やプランを開発するだけでなく、アミューズメント施設には大変珍しい客の選択をしたのではないかと思う。あくまで社説だが、若者は切ったのではないだろうか。

 

単価と良い、プランと良い、シニア、アダルト世代をグングン取り込んでいるように感じる。とても勇気のいる選択だが、好転したと思う。あなたの商売も誰の為の商売か曖昧であれば、選択する事を考えてみてはどうだろうか。

 

最後に

 

筆者含め多くの方が、ハウステンボスのここまでの成長を予測出来なかったと思う。ただ一人を除いては。社長を務める澤田社長は尊敬に値する本当に素晴らしい経営者である。九州を代表する一人だと疑わないし、限られた資源の中で発揮する手腕に経営者一同勇気の出る記事を記載させて頂く事に感謝する。

 

筆者も読んで頂く経営者の皆さんと共に、追いつけ追い越せと切磋琢磨しよう。

 

 

更新日:2014年1月14日